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中国駐在員報告2007年8月 政治 中国における統計数字 本年7月、国務院新聞弁公室は、「2007年上半期のGDPの成長率は11.5% であり、今後、この状況で推移すると、2006年世界第3位であったドイツのGDPを抜く可能性がある。」と公表した。GDPの年間成長率が世界で唯一2桁である中国は、各分野でも驚異的な増加率を示している。 例えば、港湾のコンテナ貨物取扱量では、上海港は2002年から2006年の5年間で252%の増加になっており昨年世界第1位のシンガポール港の取り扱い数量を抜くことが予測されている。また、国際空港の乗客取扱数では、上海浦東国際空港が開港した1999年から2005年の7年間で7,931%の増加となっている。さらに、高速道路の総延長数では、2001年から2006年の6年間で路線延長率は234%の増加となっている。世界の主要国が成熟社会となり成長率が逓減している中、高度経済成長を続ける中国の各分野の成長率はすさまじい。 しかしながら、各分野における統計数値の信憑性を疑いたくなるような事例も散見されている。例えば、現在、一人っ子政策を続けている中国の2006年の人口総数は約13億人と公表されているが、それを信じている者は中国人、外国人を問わずほとんどいない。また、GDP等における中央政府と地方政府の公表数値に不整合が出ていたことは有名だ。 中国では、地方政府等における経済統計に虚偽が多いことが問題になっており、国家統計局も再三にわたり、「地方から送られてくる統計データに改ざんされたものがある。」と地方政府等に警告を出していた。そして2006年1月に「中華人民共和国統計法実施細則」が改正され、国家統計局が直接派遣する調査隊に独自の調査権限を持たせ、必要があれば、地方政府等が提出した統計項目に対し再調査を実施したうえで、統計資料を作成する権限も与えられた。さらに罰則規定の改正では、国家統計局の派遣調査隊も、直接、相手方に対し警告、罰金を科すことができる権限を与えた。 高度経済成長を続ける中国は、世界のトップになる可能性の高い分野が増加しているが、比較の対象となる統計データそのものの信頼性の向上が最も重要である。 (参考資料) 1 上海港の貨物取扱量
2 上海浦東国際空港の旅客等取扱量
3 高速道路の総延長距離 (1)中国で初めての高速道路 上海〜嘉定(1988年開通)、延長18.5Km (2)統計資料(高速道路:中国国内総延長数)
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