中国駐在員報告
2005年10月 政治
駐在員 : 小杉 長生
中国において各企業及び個人に対する課税が、徐々に整備されてきている。過去には税務担当者との個別対応が可能であったため、納税に対する意識も稀薄であった。
しかし、中国経済が急激に発展している現在、中国政府は徴税を強化し始めてきている。上海市内で働いている外国人の中には、観光ビザ(Lビザ)、訪問ビザ(Fビザ)で滞在している者がいる。中国国内の滞在期間が183日を超えなければ中国での課税がないためである。しかし、実際には183日以上中国に滞在し就労している外国人で、納税を行っていない者も数多くいる。
中国国家税務総局が「個人所得税管理弁法」を10月1日に施行した。その管理法によると、外資企業の幹部や従業員を重点徴税対象として、その個人情報を詳細に把握することとしている。管理法5条5項に、地方税務当局が握握を義務付けられた外国人の個人情報は以下のとおりである。
1.納税者番号、2.氏名(中国語と英語)、3.性別、4.出生地(中国語と英語)、5.生年月日、6.中国国外の住所(中国語と英語)、7.国籍、8.身分証明書の種類、9.身分証明書番号、10.居留許可番号、11.労働就業証番号、12.職業、13.中国国内での職務、14.中国国外での職務、15.入国の日付、16.在職期限、17.予定滞在期間、18.出国予定時期、19.中国国内での勤務先名称とその税務登記証番号、20.中国国内の勤務先住所・郵便番号・電話番号、21.中国国外の派遣元の名称と所在地(中国語と英語)、22.賃金の支払い地(国内か国外か)、23.重点納税者に当たるか否か、24.中国国内に複数の勤務先がある場合、前19から前22まで
このような内容となっている。
重点納税者は外資企業・金融業・通信業・ハイテク業の幹部及び従業者となっている。なおかつ、外資企業は「重点納税者」とともに「重点管理対象」の指定を受け、申告の審査では特に厳しい扱いを受けると予想されている。
県上海事務所でも首席代表(所長)の個人情報は、この管理法施行前の7月に税務当局の指導を受け、1.氏名、2.性別、3.生年月日、6.国籍、7.身分証明書番号(パスポート番号)、8.勤務先(事務所)の税務登記証番号、9.勤務先(事務所)の住所を申告し、個人の納税者番号をつけられている。それ以外の個人情報も、今後求められる可能性は十分高いと思われる。
県事務所のある長寧区は上海市内で最初に税務処理が電算化された地区で、そのため、取り扱いは他の地区より厳しくなっている。なお数年以内に税務処理の電算化は上海市内全域に拡大されると思われる。
今回の管理法では現地採用スタッフについても厳しくなっている。県事務所の現地スタッフは中国の規定で直接雇用することができず、政府関係の派遣会社経由での雇用であるため、納税義務者は派遣会社となっている。現地スタッフは収入状況について、派遣会社との契約書の写し及び派遣会社の納税詳細を提出するよう指導され、派遣会社と現地スタッフの双方に税務申告を義務付けられ、双方の申告内容に違いがないかのチェックを行うようになっている。このことは、企業からの個人への直接現金支払をチェックし、申告洩れや脱税を調べるためである。
実際に、この管理法が中国全域で日本と同様に迅速かつ適切に実施されるとは限らないが、今後、税務当局の動きには十分注意する必要がある。
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