台湾駐在員報告
2016年4月 経済
駐在員 : 内藤晴仁
静岡県は県土の約6割が森林で、中でも人工林が約56%と高い割合(全国平均:約41%)を占めている。県西部の天竜スギは「日本三大人工美林」のひとつに数えられ、県産材は民間住宅・公共施設等の建材等として活用されており、その販路は国内だけでなく海外へも広がっている。
近年、この県産材の海外販路開拓先として台湾が注目を集めている。
台湾では商業目的の伐採が一部制限されており、木材ニーズを補うため海外から木材を輸入している。木材輸入先は主にマレーシア、ニュージーランド、日本からであり、日本では九州地区がスギ原木の輸出に積極的に取り組んでいる。こうした台湾の木材市場で、県産材の販路開拓の可能性の有無について調査をしていくことになった。
台湾の木材市場規模は日本の約10分の1と言われており、台湾へ輸入される木材の大半が台湾での消費に当てられている。また、台湾では木造住宅が極めて少ない(木造住宅は全住宅の約1%程度)ため、木材は建物の内装材や家具の材料等として活用されることが多い。内装材や家具等は安い合板材等を用いた需要が高いものの、本物志向の富裕層等の間では、木材を多用した内装(木造住宅を含む)等に一定のニーズがあり、高級家具として専門に取り扱っている店舗もある。
また、台湾の製材、合板、家具業者等が中国や東南アジアへ進出・木材関連事業を展開しており、台湾企業をプラットフォームとした第三国との間接貿易も行われている。
台湾企業を通じた第三国での取引機会の確保は、台湾企業をパートナーとすることで、中国・東南アジアへの単独進出のリスクを防ぐことができるほか、台湾企業が持つ中華圏の人的・情報ネットワーク等も活用することができるメリットがある。
台湾での県産材販路開拓を通じ、県産材の国際的な需要開拓が進められるよう、県内林業関係者との連携を図りながら、引き続きその可能性について調査を進めていきたい。
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