東南アジア駐在員報告
2014年7月 社会・時事 駐在員 : 芦澤 裕之
6月中旬、成長市場として各国の注目が集まるミャンマーにおいて、日本とミャンマーが協働で開発するティラワ経済特区を視察した。また、日本政府関係機関、日本側商社、ミャンマー側投資会社、進出を検討する日系企業から、ミャンマーの政治経済情勢とティラワ経済特区について伺う機会を得た。
ミャンマーは、6千万人の人口による潜在需要や、低賃金で豊富な労働力から「15年前のベトナム」ともいわれて期待が高まる一方で、インフラや法制度が未整備であることなどが課題とされてきた。
ティラワ経済特区は、ヤンゴン市内から車で約50分の農村地帯に、2,400ha(東京ドーム約500個分)の工業団地を開発する計画である。道路、水、電力のインフラは日本からの円借款により整備し、工業団地は日本商社3社とミャンマー企業による合弁企業が開発する、まさに日本が官民挙げて全面協力する一大プロジェクトとなっている。
現在、先行開発地域(396ha)のうち、第1期工事(224ha)を行っているが、約50社からの引き合いがあり販売好調なため、22haの拡張工事が追加実施されている。関係者の話では、2015年半ばからの随時操業を目指しているとのことであった。
インフラと法整備は、ティラワ経済特区においても課題となっている。まず、インフラ整備に関しては、現地を視察した限り、2015年半ばとされる操業開始時にすべてが整っていることは難しいと感じた。また、税制の優遇措置を含む経済特区法も、日本側の支援を受けながらミャンマー政府が改正を検討している状況にあるという。
こうした現状について、進出を検討している企業の方に伺うと、「日本が威信をかけてやっている事業なので大丈夫。もしティラワでできないなら、この国のどこでやってもできない。」という威勢のよい回答が返ってきた。また、その他の関係者のお話も、プロジェクトを絶対に成功させるという自信に満ちており、ヤンゴン市街で感じた、ミャンマーという国が今持っている「勢い」を、ティラワ経済特区開発でも感じることができた。
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