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東南アジア駐在員報告
2002年4月 政治 駐在員 : 岩城 徹雄
・シンガポールとマレーシア、海域の埋立てで新たな摩擦
シンガポールとマレーシア両国の間には、飲料水の供給、出入国管理事務所の移転など懸案になっている課題が多いが、両国を隔てる海域でシンガポールが進めている埋立て工事につき、マレーシアから非難の声があがっている。シンガポール領内での埋立て工事により生ずる陸地がマレーシア領海を侵すのではないか、両国間にあるジョホール水道が狭くなり水深も浅くなることからマレーシアの港湾に大型船が寄港できなくなるのではないか、シンガポール海峡を航行する船舶がマレーシア領海を侵犯するのではないかとの批判のほか、周辺の環境への影響、漁業への影響などが指摘されている。
3月12日にはマレーシアの新行政府プトラジャヤで、シンガポールのリー副首相とマレーシアのサイドハミド外相の会談も行われ、シンガポール側がマレーシアの訴えに基づき調査を行う用意があること、両国ともこの問題が友好関係に影響を与えないことなどが話し合われ、解決に向かうかに見えた。しかし、その後も、マレーシア・ジョホール州港湾関係者からは、港へ向かう船と埋立て土砂を運ぶ船とが衝突しそうになったとか、周辺海域の潮流が変わり船舶の曳航のためのコストがかかるなどの非難が続いている。
3月25日にはサイドハミド外相も、自国の権利により自国の領海内で進めているとだけ繰り返すシンガポール政府に対しマレーシアも国際法に従った対抗措置をとる考えを示しており、今後の展開が注目される。
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