台湾駐在員報告
2019年3月 政治 駐在員 : 内藤 晴仁
1947年2月28日、日本政府による統治が終わりを告げて間もない台湾において、行政を引き継いだ中国国民党が台湾人のデモ等を武力を用いて鎮圧した結果、多くの犠牲者が発生する事件が起きた。「二・二八事件」と呼ばれているこの事件の犠牲者等を追悼するため、政府主催による「二・二八事件犠牲者追悼式典」が台北市内で開催された。
「移行期の正義」を掲げ、国民党政権時代の不当な人権弾圧等を検証してきた蔡英文政権は、二・二八事件の被害者やその家族にそれぞれ賠償をするだけでなく、系統的に事件の真相を明らかにすることが重要だと言及した。
追悼式典の会場外では、「台湾独立」「中国との統一は二度目の二・二八事件を招く」と主張する人や、「蒋介石のおかげで今の台湾がある」「蔡英文氏は内部対立を扇動している」と主張する人が、それぞれの方法で意見を主張していた。台湾の歴史には様々な見解が存在し、それを主張する自由が認められている。台湾の歴史背景の奥深さを感じ、どちらが正しいのかというよりも、複眼的な視点を持って台湾を理解する必要があると感じた。
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