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東南アジア駐在員報告
2002年3月 経済 駐在員 : 岩城 徹雄
・ASEAN各国、01年の経済低迷くっきりと
IT不況、アメリカ・日本の不況、テロ・報復軍事行動とマイナス要因が多かった2001年の経済状況については、ASEAN各国で相次いで発表されたGDP成長率の数字も悪く、低調を如実に示す形となった。
・シンガポール
00年に10%の高成長を遂げたシンガポールは一転してマイナス2%となった。電子を中心とする製造業が12%の落ち込みのほか、建設部門は3年連続のマイナス、卸・小売業も2.8%のマイナス、9月のテロ事件以降外国からの客が大きく減ったホテル・レストランは2.6%のマイナスなど、ほぼ全業種にわたり低調だった。雇用状況にも悪影響が出て01年通年の解雇者数が2万5千人(00年の2倍以上)、01年末時点の失業率が15年来最悪の4.7%と、「建国以来最大の危機」(政府関係者)との見方を裏付ける悪い統計数値ばかりとなっている。
・マレーシア
マレーシアでは01年通年でかろうじて0.4%のプラス成長だったが、過去3年間では最低の数字。総生産の3分の1を占める製造業がマイナス5.1%と全体の足を引っ張った格好となっている。政府の緊急経済対策による公共事業実施で建設業が2.3%プラスになり、全体のプラス維持に貢献した。
・インドネシア
インドネシアは前年よリ低いものの3.32%のプラス成長だった。電気・ガス・水道の8.4%、運輸・通信の7.5%など鉱業を除く全業種でプラスとなった。GDP成長率を需要別に見た場合、民間消費支出が5.9%のプラス、また国民一人あたりの名目GDPは対前年14.5%増となるなど、好調な民間の需要が全体を押し上げたと分析されている。
・タイ
タイでは1.5%のプラス成長にとどまる見込みである。世界的不況などによる輸出不振(対前年7%減)で、製造業が伸びなかったようである。
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