中国駐在員報告
2022年7月 社会・時事 駐在員 : 浅原 敏治
5月31日の新型コロナウィルス感染者数は15人と収まってきた中、上海市政府は6月1日から、感染者が14日間出ていない居住区に住む市民約2,200万人の外出禁止(ロックダウン)を解除した。また、商業施設、公共交通機関、オフィスビルなどでは利用者に72時間以内に取得したPCR検査の陰性証明の提示を義務付けて営業が再開された。6月21日以降はほとんどの区で1日当たりの感染者数がゼロとなり、25日には李強上海市共産党委員会書記が「新型コロナウイルスとの戦いに打ち勝った」と宣言した。
ロックダウン解除後の上海市の様子を報告する。
〇 企業活動
上海日本商工クラブ(在上海日系企業の経済交流活動の支援を行う組織)が会員企業を対象に行ったアンケート調査によれば、工場を全面停止している企業は4月末の時点では63%だったが、5月末時点では14%となり、工場を稼働再開する企業が増えた。同アンケートでは、従業員が住み込みでなく通勤で勤務できるようになったことが企業活動再開の大きな要因という意見があった。また、ロックダウン解除直後も上海市外へ出張する場合に出張先の省で7日間ホテルでの隔離生活が余儀なくされ、出張を自粛せざるをえない企業が多かったが、6月28日からほとんどの省が隔離無しとなり、今後、出張も再開されるものと思われる。
〇 市民生活
買い物は、自由にできるようになった。食糧品が豊富に売られ、品不足もない。飲食店は、テイクアウトのみ可能とし、店内飲食禁止とされる中での営業再開となった。知人の日本料理店の店主に伺ったところ、テイクアウトだけでは売り上げが伸びず、経営の苦しい状況が続いているとのことであった。その後、上海市内の感染者数が収まってきたことから、6月29日から店内飲食ができるようになった。
〇 観光地
上海動物園は6月2日から営業を再開した。市内の有名観光地である豫園(よえん)も5月末から再開しており、屋外の観光施設が先に営業を始めている。上海ディズニーランドは、グッズショップを6月10日から、ディズニーランドを6月30日から再開した。映画館や劇場は、6月中には再開していない。
〇 一部で建物封鎖
6月9日、美容院の従業員3人が新型コロナウイルスに感染し、その店を利用していた502人の客が濃厚接触者となり、当該客が住む建物の住民全員に、2日間外出禁止+12日間健康観察(公共交通機関の利用自粛と在宅勤務)の措置が課された。
上海市の感染拡大は収まってきているが、72時間以内の陰性証明の提示義務は続いている。外出禁止が続いている居住区も6月29日現在8カ所ある。展示会や夏祭りなどのイベントも開催されていない。感染再発を警戒しながらの生活が続いている。
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