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東南アジア駐在員報告2008年8月 政治 タイ・・・タイとカンボジアの世界遺産登録をめぐる争い
事の発端は、タイとカンボジアの国境に近いヒンズー寺院遺跡「プレアビビア」を、カンボジアが単独で世界遺産に登録申請をしたことに始まる。 タイでは、6月にカンボジア政府の単独登録申請に対して議会の承認を得ずして賛同したノパドン外相に対して市民団体の反対運動が起こり、同相は賛同を撤回したものの、それで反対運動が沈静化することなく内閣総辞職を要求する街頭活動が活発化したことから、同相が7月14日に辞意を表明する事態にまで至った。 これで収まらなかったタイ人3人が7月15日に国境を越えて遺跡付近で抗議していたところ、カンボジア警察に拘束(すぐに釈放)されたのをきっかけに、タイ軍兵士約50名がカンボジア領土内に侵入。その後も進入タイ軍兵士の数は増し、7月20日には500名に至ったということで、カンボジア側は武力対立を避けるために最大限の自制をするとしているものの、タイ軍の挑発は看過できないと不快感をあらわにしている。 7月21日には、タイの国軍最高司令官、カンボジアの国防相が事態の収拾を図るべく協議し、双方兵士の増強を差し控えるなど、最悪の事態を回避する合意はできたものの、根本的な解決には至らず協議の継続を申し合わせるという結果に終わった。なお、7月28日には任命されたばかりであるタイのテート外相とカンボジアの外相が会談したが、大きな成果を挙げることはできなかった。 この遺跡は、1962年に国際司法裁判所によってカンボジアのものであるこことが認められているが、遺跡のある土地については周辺の土地も含め両国間の領土問題として紛争の火種として残っていたものだ。 |
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