台湾駐在員報告
2021年11月 政治 駐在員 : 宮崎 悌三
台湾の最大野党、中国国民党(以下、国民党という。)の主席(党首)に新北市長を務めたことのある朱立倫(しゅりつりん)氏が就任した。
中台対立が深まる中で、「交流のプラットホームの再構築」を掲げて党内をまとめ上げ、与党との対決姿勢を鮮明に打ち出して、来年の地方統一選や2024年の総統選に向けて、党勢を立て直したい考えだ。
国民党は、手始めとして、与党民主進歩党(以下、民進党という。)と同じく台湾独立派政党の台湾基進党唯一の立法委員(国会議員)の陳柏雄(ちんはくゆう)氏のリコールに注力。1年前の地方統一選で国民党の候補を下した陳氏の失言などを理由に、リコール運動を展開
し、規定を上回る賛成票を得て、リコール成立を実現した。
さらに、国民党は、12月中旬に行われる住民投票での勝利を、次の狙いとして定めている。住民投票は「台湾第4原発の建設再開」「豚の飼料に含まれる有害添加物によって飼育された米国産豚肉輸入の全面禁止」「桃園市で計画される天然ガス受入れ施設の建設場所変更」「住民投票と全国規模の選挙を同日程で実施」の4件を問うもので、国民党はすべてに賛成、対する民進党はすべてに反対を掲げている。今後域内で住民理解を得る活動が活発に展開されるとみられるが、民進党寄りの民間シンクタンクによる調査では、賛成する立場の人が反対より多い結果となっており、与野党の攻防がさらに激しくなるものと思われる。
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