台湾駐在員報告
2016年12月 経済 駐在員 : 内藤晴仁
2011年3月の東日本大震災以降、台湾では日本産食品の輸入規制措置が行われている。静岡県産食品を台湾へ輸入する場合、全ての食品(酒類を除く)に原産地証明書の添付が、また、茶類製品においては放射性物質検査証明書の添付が義務付けられている。この過重ともいえる規制に対し、日本政府及び台北市日本工商会(本県事務所は会員)は早期の規制撤廃を台湾当局へ求めてきたところである。
このたび、台湾行政院(日本の内閣に相当)が、日本産食品の輸入規制緩和に関する報告書を立法院(日本の国会に相当)へ提出し、リスクの低い食品から段階的に規制を緩和していくことを提案したため、政権与党が多数を占める立法院で順調に審議が進めば年内にも案が通過、緩和に向けた方向性が示されるのではないかと期待が高まっていた。
しかしながら、行政院主催の公聴会では賛成派と反対派が衝突し流血を伴う乱闘が発生したほか、立法院においても野党から国民への十分な説明が不足しているとの声が出ていることから、政府は急遽12月にも追加の公聴会を開催することとした。一部には政争の道具と化しているとの声も聞かれ、規制解除は見通しが立たない状況になっている。
台湾同様に日本産食品の輸入規制を行ったアメリカやシンガポールにおいては、段階的な規制緩和が行われている。2015年の日本から台湾への農産物輸出額は2011年比で約1.6倍に増加しており、今後、規制緩和による農産物の更なる輸出拡大が期待されている。
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