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東南アジア駐在員報告
1999年11月 経済 駐在員 : 篠原 清志
・崖っ淵のミャンマー経済
経済成長の牽引者は、ミャンマーにおいても外資と考えられているが、その投資環境は、縦割りの各種の規制や、人材の不足(大学は現在も閉鎖されている)などから良好なものといえず、軍政に対する諸外国の経済制裁などもあって、厳しい状態が続いている。
日系企業の動きとしては、スズキが、昨年ヤンゴンに工場を立ち上げ、政府も外資誘致のイメージアップに利用しているが、日本からの大型投資の第一号ともいえる味の素の工場が、今年に入って突如政府から、味の素の原料が人体に良くないとの一方的な理由(科学的なデータの提示は無い)から原料の輸入停止処分を受け、工場閉鎖となっているなど、日本からの投資に冷水を浴びせる事件が引き起こされている。味の素の工場がある日系が開発した工業団地では、同工場に動きはなく、他の区画もほとんど売れていないといった状況である。
また、政治的には、反政府団体が呼びかけた「9999」反政府活動は、軍政側に完全に封じ込められたが、10月1日、バンコクのミャンマー大使館をタイに亡命していたミャンマー反政府学生たちが占拠、世界中で大きく報道された。
しかし、ミャンマー国内では、この事件に関する外国新聞の記事はきれいに切り取られた後配達されており、一般の国民は事件の存在自体知らされていない。さらに、ミャンマーにいる日本人によれば、仮に事件を知ったところで、無関心無感動になっているミャンマーの国民からは、何の反応もないだろうとの意見が多かった。事件が解決した直後の10月始めの首都ヤンゴンは、まったく静かで、一般国民には何の影響も及ぼしていない感じであった。
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