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東南アジア駐在員報告2001年3月 行政 シンガポール政府は2月23日、2001年度(4月1日〜02年3月31日)の予算案を発表した。全体では280億5480万シンガポールドル(S$)(約1兆8000億円)の歳出に対し、歳入が342億7100万S$(約2兆2900億円)で、黒字予算である。対前年比は歳出が0.4%、歳入が2.8%と、アメリカ経済の減速などにより国内経済も2000年ほどの経済成長は見込めないとしている。 所得税や法人税の減税、水道、電気など公共料金の割戻し、中央積立基金(CPF;退職後の年金支給のための積立基金)への補充や生涯学習基金、老人ケア基金への拠出など、市民生活を重視した形の予算となっている。一部には、2002年8月に予定されている総選挙が前倒しされ今年おこなわれるための配慮ではないかとの見方もある。 この他、いくつかの起業支援策も盛り込まれた。新設された小規模の企業については、利益の1万S$までは75%が課税免除となり、1万を超え10万までの9万S$については50%が免除される。また、ストック・オプション(自社株購入権)により得られた利益への課税免除が規模にかかわらずすべての企業に適用されることとなった。ストック・オプション制度は、アメリカのベンチャー企業で人材確保策として用いられたこともあり、税制面での優遇は政府の起業支援策のひとつとされている。この他、従来被雇用者だけに限られていたCPF積立金の税控除が、自営業者にも拡大される。 法人税率については、従来の25.5%から24.5%に引き下げられる。日本では法人税率が25%以下の国はタックス・ヘイブン(租税回避地)とみなされるため、日系企業の一部では日本で合算課税を受ける可能性がある。 |
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