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東南アジア駐在員報告2003年2月 経済 シンガポールとアメリカの自由貿易協定に日系企業も注目
この合意により、両国のFTAは議会での審議を経た後、効力を発することになるが、シンガポール通産省がシンガポール日本商工会議所会員らを対象にしたFTAに関するセミナーの席上、アメリカとのFTAにはシンガポール以外の第3国の製品もシンガポールを経由しアメリカに輸出されれば関税ゼロとなる「Integrated Source Initiative (ISI:原産地統合計画)」が盛り込まれたことが明らかになった。通常、FTAでは、第3国からのいわゆる裏口輸出を防止するため、輸出国の最終製品であることが条件付けされる原産地ルールがあり、例えばASEANの自由貿易協定であるAFTAでは加盟国での付加価値が40%以上のものが0〜5%の低関税を受けられる条件となっている。シンガポールとアメリカとのFTAでは、シンガポールからアメリカへの輸出については、この原産地ルールの代わりにISIを採用し、周辺国からの製品もシンガポールを経由することにより無関税でアメリカに輸出されることができる仕組み。 セミナーに参加した日系企業からはこの点に質問が集中したが、シンガポール通産省からの説明によれば、周辺国からの物流が増え域内物流拠点としてのシンガポールの地位が高まり、当地の物流企業が有利になるメリットがある、対象となる製品はIT製品と医療機器約260品目を予定(品目リストは正式には未決定)、公には周辺国の地域は限定されない、シンガポールへの輸入手続をとらない単なる積み換えは対象としないこととされている。 シンガポール周辺では、フェリーで1時間弱のインドネシアのバタム島、ビンタン島、橋を介して陸続きともいえるマレーシアのジョホール州、マラッカ州に工場を持つシンガポール企業、日系企業も多く、このISI条項のメリットを享受できるかどうか関心が高まっている。 |
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