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東南アジア駐在員報告
2001年4月 経済 駐在員 : 岩城徹雄
アメリカ経済の減速、日本経済の長引く不況などにより、海外の景況に依存するASEAN各国の通貨がそろって安値を更新し、通貨危機後の落ち込みから脱したといわれた2000年とは反対に、今年以降の低迷が危惧されている。
・シンガポール
これまで堅調であったシンガポールドル(S$)は、4月2日に対米ドル(US$)で1US$=1.8165S$となり、97年の通貨危機以降の最安値をつけた。アジアの各通貨が安くなっていることに影響されたものであり、金融管理庁の介入はないとの見方が多いようである。
・タイ
97年の通貨危機の発端となったタイのバーツ(BT)は、3月末に3年ぶりの低水準の1US$=44.4BTとなった後も回復せず、4月3日にロンドン市場で45.4BTまで下がり、タイ中央銀行がバーツ買いの介入を行ったのではないかとのうわさも流れたが、その後も45BT台が続いている。輸出依存の製造業も輸出先の日本経済が不振では、バーツ安のメリットを活かせないと不安が広がっている。
・インドネシア
国内の政治・経済が混乱を続けるインドネシアでも、3月9日に2年5か月ぶりとなる1US$=10000ルピア(RP)となり、中央銀行も介入を行ったがルピア安は止まらず、4月4日には10610RPとなっている。政治情勢はワヒド大統領の弾劾問題で揺れており、有効な手を打てずにいる。
・フィリピン
新政権に期待が集まるフィリピンでもペソ(PS)安は避けられず、4月4日に2か月半ぶりの1US$=50.17PSとなった。中央銀行は介入しないことを明らかにし、冷静を保つことを呼びかけている。
・オーストラリア
前年から長期にわたって安値が続いているオーストラリアドル(A$)は3月30日に1US$=2.0496A$の最安値をつけ、さらに4月4日には2.0670A$となっている。昨年10月にオーストラリアに展開する本県関係企業などを訪問した折には、他の経済指標はさほど悪くないので「理由無き豪ドル安」との楽観的な見方がされていた。しかし、豪ドルから見て1A$=50USセントを割り込んだ最近の状況は心理的な影響も大きく、輸出拡大、外国人観光客の増加といったプラスの面よりも、内需の減速など全体として景気が後退しているという不安感の方が強いようである。
・マレーシア
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