東南アジア駐在員報告
2016年2月 社会・時事 駐在員 : 吉住理恵子
昨年、バンコク中心部では、商業施設の開発や改装が相次いだ。最も注目されたのが、ザ・モール・グループが3月末に高架鉄道(BTS)プロンポン駅に隣接して開設した高級モール「エムクオーティエ(EmQuartier)」。「Helix Quartier」「Glass Quartier」「Waterfall Quartier」の3棟からなり、売場面積は約25万u。静岡市内にある新静岡セノバの店舗面積は約32,000uであるから、その巨大さがわかるだろう。世界的な一流ブランドショップが軒を連ね、日系書店の紀ノ国屋や、高級食材が並ぶグルメ・マーケット(スーパー)も入居している。
既存高級ショッピングエリアのサイアム地区では、11月に複合商業施設「セントラルワールド」内のバンコク伊勢丹が2億バーツ(約7億円:1バーツ=3.5円)をかけて、5階を「和食ギャラリー」に改装。本県の本目浅吉商店(日本茶)や、本県企業がプロデュースするスイーツショップ「メゾンドフリアン」をはじめ、総菜や和菓子、洋菓子などを充実させた。タイ初登場とのブランドも出店し、報道によると2013年比70%増加の売り上げを見込んでいるという。
チャオプラヤー川西岸のトンブリ地区でも、現在、大型複合施設「アイコンサイアム」の開発が進められている。タイの財閥チャロン・ポカパングループが500億バーツ(1,750億円)を投じて開発中のこの複合施設には、床面積52万5,000uの大型商業施設と、国内最高層となる超高級コンドミニアムが建設される予定で、2017年末に開業予定の商業施設には旗艦テナントとして日本のデパートの高島屋が出店を決めている。現状のままだと、ややアクセスが難となる地域であるが、先ごろ、アイコンサイアムが資金を全額出資してBTSを接続する計画が発表され、集客力の大幅な向上が見込まれる。
クーデターからまもなく2年。軍事政権発足後、政情こそ安定したが、経済成長は予測を下回り、景気は低迷しているが、市内のショッピングセンターは多くの人で賑わっている。メインの客層は若年富裕層や海外旅行客だ。政治、経済の両面に課題を抱えるタイで、旺盛な消費が景気回復のけん引役となるか、今年も注目したい。
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