東南アジア駐在員報告
2016年6月 社会・時事 駐在員 : 吉住理恵子
2016年は日本とシンガポール外交関係樹立50周年の記念すべき年である。シンガポールの“S”、ジャパンの“J”、そして50周年の“50”を組み合わせた「SJ50」を掲げた様々なプロジェクトが日本とシンガポールの両国で行われている。
シンガポールの総合文化施設のエスプラネードでは、5月13日(金)から22日(日)までの10日間にわたり、日本の文化を様々な切り口で紹介するイベント「スーパー・ジャパン ジャパニーズ・フェスティバル・オブ・アーツ」が開催された。会場となったエスプラネードはマリナベイサンズを対岸に見渡すベイエリアに2002年に建設され、これまで中華、マレーなど自国民のルーツとなる文化を紹介する機会を毎年定期的に提供してきたが、他国文化を一定期間紹介する主催事業は、初の試みだという。
13日のオープニングは、日本の伝統文化の一つである和太鼓の演奏集団「鼓童」のパフォーマンスで幕を開けた。期間中は、1966年に当地に店舗と音楽教室を構えたヤマハがシンガポール現地法人の創立50周年を記念して冠スポンサーとなったブルーノート東京のジャズ・オーケストラ・コンサートをはじめとした数多の有料イベントに加え、着物ショーや英語俳画展示、こいのぼりづくりのワークショップ、屋外での祭屋台など30もの無料イベントが実施され、多くの人を集めた。
当事務所はシンガポールの一般の方々を対象に、煎茶、玉露、焙じ茶、そして季節の新茶の入れ方を学ぶ体験型の緑茶セミナーを、エスプラネード(総合文化施設)との共催で実施した。
約2時間のセミナーを通じ、参加者はお茶の種類によって茶葉の量、水の量、お湯の温度と抽出時間で淹れることを学び、それぞれの味の違いを楽しんだ。体験に使用した日本式急須は、自宅でも茶葉で入れた日本茶を味わえるように参加者にプレゼントし、県内関係企業の協力を得て、茶葉サンプルやシンガポールで購入できる県内関係企業のお茶リストを配布し、緑茶文化とともに県産品の普及促進を図った。
シンガポールからの訪日観光客は年々増加しており、訪日外国人消費動向調査(平成26年版)によれば6割超がリピーターだ。そうした状況の中で、緑茶に代表される日本の食文化や、東京や大阪以外の地方をより深く知りたいというシンガポール人も増えてきている。そうした層に向けて、シンガポール現地の団体等との協働により、静岡県の緑茶喫茶文化を発信する貴重な機会になった。
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