台湾駐在員報告
2019年2月 政治 駐在員 : 宮崎 悌三
柯文哲(か ぶんてつ)台北市長の海外視察が、2020年に行われる総統選に向けた瀬踏みではとの憶測を呼んでいる。
柯市長は、2月にはテルアビブ市で開催されるユダヤ系組織主催の世界市長会議へ参加するためにイスラエルを訪問、3月には台北市の友好都市アトランタ市との交流40周年記念行事への参加など、アメリカ東海岸4都市を訪問することを明らかにした。
中国との関係において、台湾はアメリカの存在を最も重要視しており、歴代の総統も選挙前には「アメリカ詣で」を行うことが通例だ。くだんの柯市長は、国際政治の急激な情勢の変化においても世界最強国であり続けるアメリカの、新しい事物を素早く吸収する能力を支えている人材、資源について、つぶさに見てきたいとのコメントに留めている。
一方、柯市長に呼応するかのように、台湾政府系の貿易振興機関「TAITRA(タイトラ)」(日本の「日本貿易振興機構(JETRO)」に相当)は、世界のハイテク企業が本部や研究開発(R&D)センター等を設けているイスラエルを、台湾にとって戦略的な意味を持つと位置付け、テルアビブ市での拠点開設を発表した。柯市長は、対立関係にある国々に囲まれ、人口規模で台湾の4割にも満たない約870万人のイスラエルが、存続・繁栄していることに興味を持ったと語っている。
2018年12月、静岡マラソン関係者との面談において、柯市長は、「何れ近いうちに日本にも行きたい」と訪日に関しても興味を持っていることを明らかにしている。柯市長にとっては、海外の優れた事例を取込み、より強固な台北市、さらには台湾の生存の道を探るための手法として、「都市外交」を位置付けていることが読み取れる。
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