東南アジア駐在員報告
2015年5月 社会・時事 駐在員 : 吉住理恵子
4月24日、バンコク市内のホテルで、東京都立産業技術研究センター(TIRI) バンコク支所の開所式が行われた。
TIRIは1921年設立、300名の研究員を持つ日本最大の公設試験場で、4000近くの日系企業が進出しているタイで、国内と同様の技術支援を求める声に対応し、初の海外支所を設置することになった。東京都は、TIRIバンコク支所にあたってのタイ国工業省からの全面的なバックアップを受けており、TIRIに続き、産業振興公社もバンコク支所を設置予定で、技術と経営の両面から進出企業をサポートできる体制構築を現在準備進めているとのことである。
来賓のジェトロ・バンコク事務所長からは、タイに進出した日系企業が、日々発生する様々な技術的課題を解決し、開発体制についての中期的課題に対応する上で、ジェトロではカバーしていない各企業の個別具体的技術課題をカバーしサポートするTIPIバンコク支所の設立は、時宜を得たものであるとの評価があった。また、タイ工業省のプラモート副大臣からは、タイ国政府としてもTIPIバンコク支所の設立がタイのサプライチェーン強化につながることを期待するとの祝辞が述べられた。
バンコク支所には、支所長のほか、民間企業で東南アジア駐在経験のある2名の研究員が配置され、電気、機械の技術相談に現地で応じる。また、研究員の専門領域以外の化学系の技術相談には、事前予約制で東京の本所とのテレビ会議等により、技術相談を実施する予定であるとのことであった。分析機器や検査機器などは備えておらず、技術相談や、国際規格対応についての情報提供、技術セミナーなどを行う予定だ。
本県の工業技術研究所や国際経済振興会(SIBA)は、TIRIをはじめとする首都圏公設試験機関と連携して中小企業向け海外展開支援サービスを実施していることから、タイに進出している本県企業が技術相談などを現地で受けることも可能である。
静岡県は、140社超がタイに進出し、180超の事業所を構えている。現在、タイ工場で受注した案件の開発は日本の本社に送って対応しているところがほとんどだが、取引先からの要請に応じたリードタイムの短縮が課題となっているとの声も聞く。TIRIバンコク支所の開設はこうした企業の課題に貢献しうるものと期待できる。
「東京都バンコク区」と言われることもあるほど、日本人コミュニティが充実しているバンコクで、日系企業が活躍しやすい基盤がまたひとつ整備された。
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