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中国駐在員報告

2023年9月 経済
駐在員 : 石川 祐介


 福島第一原発の処理水が海洋放出されて以降、中国では連日、処理水関連の報道が続いている。日本に様々な影響を及ぼしている中国国内の動きについて、現地の状況を報告する。

(現地報道)
 8月24日、国営新華社通信は、「日本の核汚染水が、果てしない被害をもたらす」との社説を掲載した。今後、日本が数十年にわたって核汚染水を海洋放出する中、「処理システムの寿命や信頼性に懸念」があり、「トリチウムやその他核種の総量は驚異的」で、「長期的な環境・生物学的な影響が評価できない不確実性こそ最大のリスク」と解説した。
 また日本政府は、欧米と手を組んで国際原子力機関(IAEA)の評価を誘導し、反対意見を抑圧する一方、汚染水の排出で直接・間接的に影響を受ける国内の漁業者には数百億円の基金を準備し、こうした被害を受けているのは、太平洋沿岸の近隣諸国や太平洋島嶼国も同じであるとも解説し、これが中国国内における一般的な認識となっている。

(現地生活)
 こうした報道を受けて、現地SNSでは、黒い処理水が流れ出る様子や、240日後に中国に処理水が到達するなど出処不明の動画が拡散している。また、「日本に電話することで、汚染拡大を止める」とする複数の投稿が拡散し、これに呼応する動きが、日本への迷惑電話に繋がったと見られる。現地では、日本人学校への投石など一部個人による反日行動は見られたが、デモや大規模なうねりには転じておらず、現地生活への影響は限定的である。

(経済・観光への影響)
 中国税関総署は、8月24日に日本産の水産物輸入を全面的に停止した。中国国内では、日本政府の処理水には反対だが、食品の購入については、あまり気にしない・魚は食べるが頻度は減るかもしれないと話す層(主に高中所得者)と、根拠不明の動画に過剰に反応して塩の買いだめに走る層(主に中低所得者)に2極化している印象である。
 高所得者向けの日本料理店では、日本直送の高級食材が輸入できず、営業に大きな支障が生じている。中所得者向けのくら寿司など日系チェーン店は、仕入先を切り替えることで賑わいを維持している。他方、中低所得層の受け皿となる地元飲食店で海鮮を避ける傾向が出ていると報道され、現地の漁業関係者に大きな影響が及んでいるとみられる。

 上海市、杭州市、成都市の旅行会社へのヒアリング(8月29日〜31日)によれば、日本ツアーの半数近くがキャンセルとなり、FIT(海外個人旅行者)よりも低価格の団体旅行、直近よりもキャンセル代不要の先日付のツアーの影響が大きく、各担当者はこの影響が2〜3か月は続くと話している。

 県上海事務所では、8月26、27日に浙江省寧波市の阪急デパートでJTB主催の観光・物産展に出展した。処理水排出直後で緊張感の高まる時期ではあったが、会場には約8,500人が来場し、2日間で本県の日本酒・梅酒30本(約18万円)が売れるなど賑わいを見せた。
 中国現地では、処理水は心配だが日本人全体が悪いわけではない、という論調が増えつつある。人的往来の回復に伴い、相互理解が進むことを期待したい。


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