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ヨーロッパ駐在員報告
2000年5月 社会・時事 駐在員 : 森貴志
ネオナチ、シナゴークに放火
チューリンゲン州エアファルト市で、ヒトラーの誕生日にあたる4月20日、シナゴーク(ユダヤ教の礼拝所)に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生し、同件を捜査する検察局は、極右団体に所属する少年(18)を放火の疑いで逮捕した。
警察によると、同日夜10時頃、市内シナゴークの裏壁に向けて火炎瓶が投げつけられた。幸い火炎瓶に差し込まれた火炎芯が外れ、大火は免れたが同市では今年はじめにユダヤ人墓地がネオナチに荒らされて以来、州内50のユダヤ人施設を集中監視しており、警察は事件発生から数分後には現場に駆けつけ、捜査を開始した。
現場付近で見つかった犯行声明文には「反ユダヤ主義による犯行」と書かれており、さらにヒトラーの風貌をもじった「髪の分け目の持ち主より」との署名があった。逮捕された容疑者は、ドイツ国家民主党(NPD)の元党員で現在はドイツ愛国者連盟に所属する極右主義者であり、傷害、器物破損などの罪で執行猶予中であった。
同州ユダヤ人会のノッセン会長は、「旧東ドイツ州に反ユダヤ主義がはびこるのは、過去の検証を怠っているため」と当局を厳しく批判している。
一方ドイブラー・グメリーン連邦法相は、事件発生直後に「ドイツが極右主義や外国人排斥を黙認しないことを証明する。」と徹底捜査宣言を行った。
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