台湾駐在員報告
2019年9月 経済 駐在員 : 内藤 晴仁
中国政府は、8月1日から台湾への個人旅行許可証の発給を制限すると発表した。蔡英文総統は7月、カリブ諸国へ公式訪問を行ったほか、米国で政府高官と接触、大量の武器購入決定等を行い、中国の強い反発を招いていた。中国政府の制限に対し、台湾政府は一方的な制限に対する遺憾の意を即座に表明した。
中国人は訪台旅行客全体の約3割を占めており、今回の制限で訪台中国人数は約70万人減、観光収入は約375億元(約1,300億円)減と試算、中国の狙いは台湾の産業へ打撃を与え、総統選挙への影響を及ぼすことであると報道するメディアもあった。
他方、台湾政府は、中国大陸のみに依存しない経済成長を目指す「新南向政策」に取り組んでいる。新南向地域(主に東南アジア諸国等計18か国)からの年間の旅行客数は約178万人(2016年)、約229万人(2017年)と年々増加、日本人旅行客数約197万人(2017年)を超えるなど存在感を高めている。
中国人旅行客数は約418万人(2015年)から約270万人(2018年)と減少したが、訪台旅行客数(全体)は1,043万人(2015年)から1,107万人(2018年)と増加している。中国人の減少を他地域の旅行客で補う図式ができあがり、今回の制限も相対的に大きな影響は生じないとの報道もある。
観光面では新南向政策が浸透、中国一辺倒からの変換が進んでいるようだ。
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