東南アジア駐在員報告
2014年12月 経済 駐在員 : 吉住理恵子
ASEANにおける日系企業の最大集積地であるタイのバンコクで、11月19日から22日にかけ、東南アジア最大級の金属加工・工作機械展示会「METALEX2014」が開催された。今年で28回目となる同展示会には、ジェトロによる「ジャパン・パビリオン」をはじめ、シンガポール、台湾、中国などが国としてのパビリオンを設け、出展した。
ジェトロパビリオン内では、富山県等がタイでの顧客開拓や市場調査を目的とする中小企業をとりまとめる形で出展したほか、新潟県の燕三条地域は独自でブースを設置しており、東京都大田区主催の商談会も会期中に設けられたと聞いた。自治体や地域産業支援機関が、展示会への出展支援にとどまらず、アセアン地域での顧客の掘り起こしを支援し、進出先での販路開拓をもサポートする段階に入っているようだ。
タイは、5月22日の軍事クーデターから、22日でちょうど半年が経過した。依然、戒厳令が続いているが、バンコク市内は至って平穏で、街の様子にも変わったところはない。タイの2014年の上半期の経済成長率は、クーデターの影響もあり△0.1%、 一時上向いたかに見えた景況も失速気味で、今年全体の経済成長率予測も1%に下方修正されたばかりだが、METALEXの会場内は、少なくとも表面上はそうした影響を微塵も感じさせることのない盛況ぶりで、会期中4日間で、昨年度を上回る76,054人が来場したと発表されている。景気減退下だからこそ、生産効率化に資する機械に強い関心が寄せられるのかもしれない。出展していた本県関係企業からは、「品質は日本標準、価格はタイ標準を求められている。」との声もあり、タイ市場での競争も熾烈になっているようだ。
会場のバンコク・インターナショナル・トレード&エキシビション・センターは、現在拡張工事を行っており、拡張後の2016年にはMETALEXも規模を拡大し、10万人規模の来場者を目指すとのことである。
タイへの観光誘客や直接投資の抑制原因となっている戒厳令が一日も早く解除となることを願うが、残念ながら、民政復帰に向けた総選挙は、当初予定の2015年から2016年に延期される見通しだ。
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