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ヨーロッパ駐在員報告2001年4月 経済 ドイツ政府が昨年閣議決定したドイツポストによる普通郵便事業独占の5年間延長方針に対し、各方面から異論が噴出している。これは、新規参入を目指して設備投資を進めてきた中小の運輸業者や、自由化による郵便料金の値下げを期待した消費者の意向を無視した決定だというものである。 旧国営のドイツポストは、民営化の途上にあり、既に小包部門などは独占が解かれ、国内外の運輸業者との間で激しいシェア争いが展開されている。ただし、200グラム以下の封書や50グラム以下の印刷物の配達など、いわゆる普通郵便事業については、郵便法で2002年末までドイツポストによる独占営業が認められていた。今回の政府決定は、この独占終了期限をさらに2007年末まで延長するというもの。 理由について政府報道官は、「欧州連合(EU)の郵便市場自由化の計画が思うように進んでいないため」と説明した。これはEU各国が自国の市場開放に慎重な姿勢を見せている中、ドイツだけが先走って自由化する必要はないというもの。 さらにこうしたドイツの郵便事業独占の延長措置はこれが初めてではない。1997年末に設定されていた期限を、先延ばししてきた経緯がある。加えて消費者にとっては、ドイツポストが昨年、郵便料金の10ペニヒ(約5円)引き上げを要求し、当時政府の反対でつぶれた経緯もあり、これに対する不信感も残っている。こうした点をとらえて野党や産業界は、「延長を認めて割高な郵便料金を維持することは、ドイツポストの筆頭株主としての政府の利益にもならない」などと反発。 自由競争による消費者の利便性向上を期待していた連邦各州政府も、強く反対している。政府は近く、延長のための郵便法改正案を議会提出する予定。 |
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