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東南アジア駐在員報告
2000年6月 経済 駐在員 : 岩城徹雄
頻発するテロ事件によりフィリピン経済に暗い影
ミンダナオ島周辺でのイスラム反政府勢力による誘拐事件に続き、首都マニラでも爆弾テロが相次ぎ、社会不安が広がっている。5月17日に首都圏のショッピングモールで発生した爆弾テロ事件は、外国人も居住し安全とされていた地域で起き、さらに21日には別のショッピングモールの映画館で爆弾テロが発生し1人が死亡し10数人が重軽傷を負うなど大きな被害となった。
これらの事件は投資家の意欲にも悪影響を与え、5月23日のマニラの株価指数は1404.67と、アジア通貨危機の影響が及んだ98年10月以来の低水準に落ち込んだ。株価も1米ドル41.915ペソと、19か月ぶりの安値をつけた。市場関係者は、治安がよくならない限り株価の回復は期待できないとしている。
また、パルト蔵相は、ミンダナオ島周辺の状況悪化を理由に、今年のGDP成長率政府目標(4〜5%)の上限の5%は達成困難との見方を示した。政府では、同国のGDPの20%を占める農業分野の今年第一四半期の伸びが0.2%に止まっており、農業地帯のミンダナオ島で紛争が終結し農業生産も回復すれば、下限目標の4%達成は可能であるとしている。
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