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ヨーロッパ駐在員報告
2001年8月 政治 駐在員 : 森貴志
米国の過激な黒人イスラム組織「ネーション・オブ・イスラム」の指導者ルイス・ファラカン師(68)の英国入国をめぐり、国内で賛否両論が巻き起こっている。
英国高等法院は今年7月末、15年間続いてきた同師の入国禁止措置を違法と認定したが、人種対立の激化を警戒する英政府はこれに猛反発している。
師は「ユダヤ人の富は黒人を搾取して築いたもの」「白人は黒人に対し奴隷制度の補償をしろ」という急進的な主張で有名であり、1995年には、米ワシントンで大規模な黒人デモを成功させるなど影響力は大きく、英国内にも彼の支持者は多いとされている。
高等法院は判決理由を10月まで開示しない方針だが、昨年英国で導入された人権法にのっとった判断とみられている。
黒人やインド系住民への差別は英国内でも大きな社会問題であることは事実であり、今年に入っても、英中部の諸都市で人種対立による暴動も起きている。
英政府は「混乱を助長する」として、判決に対する上訴も含めたあらゆる手段で入国を防ぐ構えだ。
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