韓国駐在員報告
2017年5月 経済 駐在員 : 野原靖
韓国輸出入銀行(輸銀)の統計によると、韓国の中小企業が昨年(2016年1〜12月)1年間に海外に投資した金額は60億2,300万ドルで、統計を取り始めた1980年以降で最高となった。海外法人の設立も1,594件で、2008年の金融危機以降で最多だった。輸銀関係者は「最近3〜4年で中小企業による海外法人設立と投資が増え続けている」と指摘した。
中小企業の海外法人設立が増加している理由について、大企業の海外進出で韓国国内での下請け受注量が減り続けている上、人件費負担の増大や各種規制の強化が複合的に影響した結果と分析されている。中小企業中央会の関係者は「韓国社会に広がる財閥や企業に対する嫌悪感も、海外進出を促す大きな要因だ」と話している。
大企業に続き、中小企業までもが韓国を離れ、国内の雇用基盤が崩壊しかねないとの懸念が高まっている。中小企業は国内労働者の88%(1,402万人)を雇用している。韓国中小企業研究院は、企業が海外に工場を設ければ、国内工場は設備投資を減らし、既存工場の規模も結局は縮小するため、2〜3年後には中小企業による製造業の空洞化が目立つようになると予測している。
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