東南アジア駐在員報告



2005年4月 社会・時事
駐在員 : 橋本 勝弘


    「国内カジノ開設は是か非か」の論議で盛り上がったこの1年、間もなくシンガポールの国会における閣僚声明として、リム・フンキャン通産相が結論を発表する。
    これまでの閣僚による主な発言は、リー・クアンユー顧問相が1月末のシンガポール大学の学生を前にした講演で、「観光地としての魅力維持のためカジノ開設に踏み切るべきか閣内でも意見が分かれている。道徳的観点から反対する閣僚もいれば、カジノが潮流だと主張する賛成派もいる。」と述べた。また、リー・シェンロン首相は、「カジノ開設の是非について宗教界から反対が強い。一般国民の意見は参考にするが、最終決定は内閣が行う。」との立場を明確にしている。「国民の大多数はギャンブルにおぼれるような人間ではない。シンガポールはカジノを受け入れられるだけの成熟した社会だ。」と発言した閣僚もいる。
    シンガポールの有力紙によると、カジノを含む総合リゾート施設の建設が実現すれば、多岐にわたる分野で経済効果が期待できるとし、またモルガン・スタンレーの試算では、@大量の雇用創出など実質を伴う経済波及効果の発生、A観光業の活性化、Bカジノ併設でリゾート内他施設の集客率の向上と不採算事業の底上げ、といった利点から、経済波及効果は、GDPを1.5%引き上げることが可能としている。
    シンガポールでは政府公認以外の賭博は違法であるため、海外のカジノに通う富裕層が多く、「通貨流出」は推定で11億9千万シンガポールドル(以下S$)(約773億5千万円)にも及び、カジノ開設により、この内の半分以上を囲い込めると指摘する者もいる。海外のカジノのうち、現在では半分を、海上クルーズ、インドネシア、マレーシアで占めている。
    巷では、中国の隣国が国境近くにカジノを開設し、中国人客を引きつけていることから、カジノ開設の真の目的とは、中国人観光客誘致とされている。
    なお、カジノを含むリゾート施設の建設予定地は、セントーサ島とマリーナ・サウスが候補にあがっている。

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