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中国駐在員報告2008年7月 社会・時事 北京五輪開催における交通対策 北京五輪及びパラリンピック開催期間中、北京市の交通渋滞を緩和し大気汚染を解消するため、北京市政府は、2008年7月1日から9月20日まで、北京市内の自動車等(市内登録車両及び市外登録流入車両)に対し、主に、以下の措置を取ることを決定し、違反車両については、北京市の環境保護部門及び公安交通管理部門が、国家と北京市の規定及び法律に基づいて処分すると公表した。 (主な交通規制) 1 排ガス基準を満たさない車両 7月1日0時から9月20日24時まで、市内の通行を禁止 2 北京市発給のナンバープレートを持つ車両 7月20日0時から9月20日24時まで、車両ナンバーの奇数、偶数に一致す る奇数日、偶数日のみ市内を通行可能 (例外措置) ただし、消防車、救急車等の緊急自動車及び解放軍等並びにバス、タクシー等の公共交通機関の車両等は通行可能 3 貨物車両、オートバイ等 郵便用貨物車両、その他の貨物車両、オートバイ等については、通行時間帯、通行路線等を制限 4 劇毒化学薬品を搬送する車両 7月20日0時から9月20日24時まで、市内の通行を禁止 5 北京市外からの流入車両 基本的に北京市内の車両とほぼ同等の規制を実施 なお、市外から新鮮な農産品を搬送する「グリーンチャンネル」車両については、例外的に市内通行可能 次に、交通規制の対極となる、北京市内の公共交通機関の主要な機能増強策の一つに、地下鉄接続路線の新設がある。これは、「首都空港乗客専用線」として、空の玄関口の北京首都国際空港第3ターミナル(ちなみに第2ターミナルは経由)から北京市東直門駅まで、総延長28.1kmを新たに敷設したものである。東直門駅では、市内中心部を上下に環状する地下鉄2号線、13号線に乗り換えることができる。空港から東直門駅まで、従来は、タクシー料金が約67元(通行料金10元を含む。日本円換算で1,072円)以上、所要時間が約25分から渋滞の状況により最大約70分程度であったものが、新設路線の乗車料金は片道25元〜30元(公聴会終了後に確定する。:約400円〜約480円)に、所要時間は車両速度が時速110kmであるため約16分間と、料金も時間も著しく改善されることになった。 北京五輪開催1月前の7月に、日本で開催された洞爺湖サミットで議論された環境対策の成否を握るのは、G8諸国と中国、インドであることは間違いない。現在の中国では、北京市だけでなく、沿岸部等の主要都市において、日常化した激しい交通渋滞や自動車の排気ガスによる大気汚染など、非常に多くの環境問題が山積している。これらを一時しのぎではなく抜本的に解決できるような対策として、洞爺湖サミットの協議内容を踏まえ、北京五輪開催を契機に、中国政府だけでなく、国内の企業や住民も、真剣に考え実施すべきではないかと思う。 ※注1 換算レートは1元(RMB)=16円で計算 |
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