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ヨーロッパ駐在員報告
1999年9月 政治 駐在員 : 森 貴志
終戦54周年「謝罪不十分」
イギリス「タイムス」紙によると、終戦54周年としてコベントリー大聖堂で行われた日英和解のための礼拝で、林駐英大使が「過去の出来事について、私たち日本人は深い後悔の念を抱いており、心よりお詫びいたします。」と述べた。
これに対して、日本軍捕虜収容所生存者協会のティザリントン会長は、「日本人は『深い後悔の念』というだけで、罪について謙虚にお詫びすると言わない。」と不満を述べ、日本政府に対してあくまでも補償を求める考えを示した。
元捕虜ら60人はロンドン日本大使館を訪れ、「これまでの自責、後悔などの表明は、私たちにとっては誠意ある対応ではない。」などとかかれた書状を提出するとともに首相官邸にも訪れて書状を渡した。
こうした戦争問題は、イギリスに限らずよく問題にされるが、「謝罪」に対しては文化の違いが大きく関与しているように思える。日本語の表現と、日本文化の認知がないと理解しづらい典型のものであろう。少なくともこのケースは戦争の謝罪の前提は「補償」をするかしないかということであり、「謝罪」はそれを約束する言葉であろう。
「54周年」も終戦ではなく、正確にいうと対日戦勝54周年であるし、「日本捕虜収容所生存者協会」という団体があることも少し驚く。
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