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ヨーロッパ駐在員報告
2000年1月 政治 駐在員 : 森 貴志
仏、EU委提訴の方針示す
仏政府は12月29日、英国産牛肉の禁輸解除を求める欧州委員会(EU委)の対応は人の生命に関わる問題で慎重さに欠けるとして、EU委を欧州司法裁判所に提訴する旨の文章をEU委に送付した。一方、仏政府に30日までに禁輸解除をするよう最後通告を出していたEU委は4日、仏政府が禁輸続行を明らかにしたため、同裁判所への提訴の手続きを開始した。
EU委にあてた文章の中で仏政府は、禁輸解除の決定は新たな伝染病を生み出す危険性を含み、「予防原則」に反すると主張。禁輸を続行するとともに、EU委を提訴する考えを明らかにした。また、狂牛病の感染メカニズムが完全に解明されていない現状では、万全の予防措置が必要であると強調した。
さらに仏政府は、EU委と英仏両政府が英国産牛肉の産地追跡とその表示について11月に合意したにもかかわらず、EU委がこの実施を怠っていると非難。また、EU委科学委員会が、狂牛病の感染経路の不確定性に警鐘を鳴らす少数意見を無視し、輸出再決定を見直さなかったのは大きな誤りとも批判した。
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