ヨーロッパ駐在員報告



2003年1月 行政
駐在員 : 山口 幸博


ドイツ小売業界に規制緩和の波

    連邦政府は、12月11日、デパートや小売店の土曜日の営業時間を4時間延長して午後8時までとする閉店法改正案を閣議決定した。営業時間の延長で個人消費を喚起し、本格的な景気回復を目指すのがねらいで、改正案は早ければ2003年4月1日から施行される見通しである。
    96年に改正された現行の閉店法(翌年1月1日施行)では、小売・サービス業の営業時間は、月曜から金曜日は午前6時〜午後8時、土曜日は午前6時〜午後4時、日曜日は原則営業禁止となっている。また、特別開店が認められた日曜日の前日の土曜日の営業は午前6時〜午後2時とされている。
    他国に比べ厳しいとされているこの閉店法の緩和については、以前から議論されてきたが、労働条件の悪化を懸念する労組側の反対等もあり、実現は見送られてきた。
    また、12月30日付けの全国紙「Die Welt」によると、ツィプリース司法相は、小売店のバーゲンセール実施を規制した「不公正競争禁止法」の改正案を1月末までに上程し、2003年の前期に改正法を成立させるとの意向を明らかにした。
    2001年に3%を超える値引きを禁止する割引法が廃止され、個々の商品については自由に割引ができるようになった。しかし、全商品の一斉割引は、不公正競争禁止法の規定により夏冬物一斉セールや創業記念セールの場合などを除いてできないことになっていおり、また、対象となる商品も衣服、靴、スポーツ用品などに限られている。改正案ではこうした規制をすべて撤廃する予定である。
    ドイツ小売業中央連合会(HDE)によると、2002年の業界売上高は前年比2.5%減の3,700億ユーロ、倒産に追い込まれた小売店も1万件に上ると見られている。
    長引く不況、ユーロ導入に伴う便乗値上げに対する消費者の買い控え、さらに、シュレーダー政権が打ち出した増税案の影響で、小売業界を取り巻く環境はますます厳しくなるといわれていることもあり、閉店法の改正などの規制緩和策に期待が寄せられている。

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