台湾駐在員報告
2022年4月 経済 駐在員 : 宮崎 悌三
台湾に輸入される数多くの日本酒の中から、輸入・販売事業者がどの銘柄を前面に押し出して販売するかは、日本の酒造会社の姿勢や輸入・販売事業者と酒造会社の関係次第であると聞く。輸出すれば売れるという時代ではないようだ。当事務所では、日本酒と様々な料理のペアリングを台湾の輸入・販売事業者や飲食・宿泊業者に実際に味わってもらうことにより、台湾における日本酒の可能性を広げ、ひいては販路の拡大あるいは市場への新規参入を容易にすることを狙いとし、事業を実施した。
事業は、産官学連携により実施した。当事務所(官)が事業をコーディネートし、料理を専門に学ぶ大学(学)に日本酒に合う料理の開発を依頼、また、台湾における輸入・販売事業者や飲食・宿泊業者(産)に集まっていただき、試食会及び商談会を実施した。
大学が関わる理由として、教員が飲食業・ホテル業を兼業で行っていることや、大学や教員が持つ広いネットワークを事業に活用することが可能であること、また、種々なジャンルの料理を学生が授業の一環として作ることにより、学生のモチベーション向上や大学のPRとなることもメリットとなることから、積極的な大学の関与を期待してのものだ。台湾において、日本酒に関して産学官が連携して商談会を実施した例はなく、初の事業である。
今回の事業で紹介した静岡県の日本酒は、恒常的に台湾市場に参入している7つの銘柄及び新規参入を目指す1銘柄の合わせて8つの銘柄。それぞれの日本酒に合う料理は、教員の指導のもと学生達が知恵を絞って開発・調理した。イベント当日には、台北市とその近郊からホテルや有名レストランのシェフ等36名が参加し、日本酒と料理を味わって、ペアリングの良否を評価した。また、8つの銘柄の日本酒の輸入・販売事業者や酒造会社が、それぞれ扱っている日本酒の特徴についてプレゼンを行い、食事の後には、参加者との商談を行った。
参加者からは、日本酒は和食に限らず他の料理との相性が意外に良いとの評価をいただき、静岡県産日本酒の台湾市場における可能性を感じた。
【写真】日本酒と料理のペアリングを評価する参加者
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