東南アジア駐在員報告
2013年6月 経済
駐在員 : 長谷川卓
5月16日、日本人会会館において、ジェトロシンガポールが主催して、現在日本が進める多国間自由貿易・経済連携協定について、日系企業向けのメリットに重点を置いた解説セミナーが開催された。
- 日本国内で論議を呼んでいるTPP(環太平洋経済協定)の交渉状況の他、アセアン10カ国とその周辺6か国(日中韓印豪ニュ)が参加するRCEP(東アジア地域包括経済連携)については、急速にアジア展開を進める日系企業にとって、広域での経済連携に関するルールづくりを進めるRCEPの重要性、メリットが以下のとおり強調された。
@ 原産地規則の改善(累積ルールの導入)により、加盟国全域での最適サプライチェーンの構築が可能になること。
A 分割輸送を可能にする規定の導入により、シンガポール等の物流拠点を経由して加盟国への分割輸送が可能になること。
B アジアで最も注目される市場だが、高い関税、通関手続きの煩雑さ、その他の輸入規制が問題となっているインド、中国へのアクセス改善が期待されること。
C アジア展開を目指す日本のサービス産業にとって、各国に残るサービス産業への出店規制、外資規制の撤廃、緩和が期待されること。
D 東アジアにおける以下のような投資規律の確保が期待されること。
ア 参入障壁の削減、外資参入規制の透明性強化
イ 許認可の恣意的な取り消し、突然の規制強化の防止、自国企業との差別的な扱いの禁止
ウ 現地人の雇用、技術移転の強要、技術ライセンス対価の制限等の政府による要求禁止
エ 投資家対国家の紛争解決手続きの規定
確かに日本市場の開放が話題となるTPPに比較して、有望市場としての東アジア地域へのアクセス改善が期待できるRCEPは静岡県企業にとってもメリットが大きいようだ。5月13日、ブルネイにおいて参加16カ国により交渉開始が合意されたRCEPの進捗状況に今後も注目していきたい。
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