東南アジア駐在員報告
2016年5月 社会・時事 駐在員 : 吉住理恵子
4月12日(火)から、15日(金)の4日間、シンガポール・エキスポで、東南アジア最大規模の総合食品見本市Food and Hotel Asia(FHA) 2016が開催された。
B to B(Business-to-Business/企業間取引)の見本市で、レストランや飲食店関係者を対象として、2年に一度開催される。今回は71カ国・地域から、食品メーカーや飲食関係機器類メーカー等3,198社、日本をはじめとする各国等58パビリオンが出展した。来場者も72,000人と前回2014年の開催時と比べ13.3%の増加となった。
ジェトロ(日本貿易振興機構)は前回比約1.5倍、612uの日本パビリオンを設け、約80社・団体が出展した。そのうち8社は5年以内の輸出未経験、海外見本市初出展企業の「ニューチャレンジャー」である。
静岡県関係の食品では、掛川市の製茶会社がジェトロパビリオンに出展して緑茶を出品したのをはじめ、伊豆のわさび製品、全漁連がプライドフィッシュのひとつとして出品した「紅富士」(にじます)などが並び、シンガポール国内のみならず、インドや中東のレストラン関係者など来場者の興味をひいていた。
日本の食品は、価格が高くても、安全で高品質だという信頼感があり、需要は高い。ただ、多くの業者が類似の日本食材を出品する大型の展示会では、サンプルを並べるだけでは、商品の差別化は難しく、質や価格の違いもわからない。したがって企業の担当者がブースに訪れた顧客に対して、時には試食を提供しながら、丁寧に自社商品の特性を訴えるプレゼンテーション能力が重要になる。
また、ある事業者によれば、この展示会のブースはいわばショーケースであり、展示会後の営業フォローアップが、商談の決め手となるとのことで、東南アジアに複数の事業所を展開するこの会社では、各国の営業担当者を全て展示会場に呼び、来場する顧客の国に応じた対応をしていた。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効に伴い、日本の農産物の海外市場展開の可能性も広がる。次回2018年のFHAでは、より多くの県産品を会場で見かけることを期待したい。
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