中国駐在員報告
2018年12月 社会・時事 駐在員 : 石井 亘
中国を訪れた日本人が驚くことの一つに交通マナーの悪さがある。車、バイクの運転手、歩行者それぞれがルールを守っている日本と違い、交通規則よりも自分が先に行くことを優先しており、自動車の運転手に歩行者優先の意識は無いか、あっても希薄であるため、青信号の横断歩道を渡る時も注意が必要である。また、多くの都市生活者の日常の交通手段となっている電動バイクは、日本のバイクと違い接近しても音がしないことに加え、大きな荷物を積載し歩道を走ることも多いため非常に危険である。
交通安全のために各都市は様々な対策を講じている。上海市は11月末から電動スクーターの公道での使用を禁ずる条例を制定した。今回、規制対象となるものは、スクーターといっても直径30cmほどの2つの車輪と足を乗せる台、前輪の舵を切るハンドルのみのシンプルな構造のものである。ハンドル部分を折りたたむことが可能で持ち運びが容易なことから、運転代行サービスの運転手が現場の移動に利用しているケースが多い。しかしながら車道を走ることで本人及び周りの車両に与える危険が大きいことから上海市は使用禁止に踏み切った。違反者には初回100元(約1,700円)の罰金、違反が複数回になると電動スクーターを没収することとしており、代行運転手には他の交通手段を利用して移動するように呼びかけている。電動スクーターの代替としては折り畳み式電動自転車があるが、車輪径が大きいことから電動スクーターよりも嵩張り、持って地下鉄に乗車できないなどの短所がある。条例が制定されたにも関わらず電動スクーターの利用を続ける者もいると予想されていることから、上海市当局がどのような対応をするか注目を集めている。
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