中国駐在員報告



1999年9月 経済
駐在員 : 今村理一郎


    消費市場低迷
    中国では、一昨年来物価が下がり続けているが、市民の消費は依然として低迷している。その原因について、中国経済景気観測センターが北京、上海、広州、武漢、成都、西安6都市における1,225人の消費者を対象に調査を実施したところ、将来に対する不安感が消費低迷の原因となっていることが明らかになった。
    この調査の概要を紹介すると不安感は、次の3つに分類できる。
    @ 将来の就職に対する不安感。

      調査結果によれば、向こう5年間に仕事が確実に確保されるかとの質問に、34.2%の人が自信がないと回答した。これは、国有企業の改革の真っ最中であり、身辺に多くの失業状態の人を見ているからであろうと思われる。
    A 将来の収入に対する不安感。
      回答者の内、50%以上の人が向こう5年間に安定した収入を確保できる可能性が小さいと答えている。
    B 社会保障に対する不安感。
      自分が退職した時、社会保障体制が整備されているかとの質問について、47.4%の人が整備の可能性は小さいと答えた。
      私自身、ここ10年から20年で新しい社会保障システムが整備されるとは考え難い。
    このような消費低迷の原因は、先月のトピックスで報告した貯蓄に対する根強い傾向と背景を同じにしている。
    現在、政府が公務員の給料を50%引き上げるという情報があり、その事実をある政府機関の職員に聞いたところ、既に給料の大幅ベースアップは公務員本人に知らされているが、引き上げはまだ実施されていないとのことである。(南京市政府では、外資系企業に5〜10%のベースアップを実施するように通知したという。)
    預金金利を下げ、給料を上げれば消費が拡大するという考えは、少し短絡的ではないだろうか。消費を控え、貯蓄へお金を回す市民の生活防衛の根本的な問題へのアプローチが先決ではないだろうか。

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