台湾駐在員報告
2018年2月 行政 駐在員 : 宮崎悌三
台湾の行政院が国策として進めている環境・エネルギー政策について、年末年始にかけて方針を具体化する動きがみられた。
一つめは、ガソリン・ディーゼル車の新車販売を2040年までに全面的に廃止し、電気自動車(EV)へ移行するというものだ。併せて市民が日常的に利用するオートバイも、ガソリン車の販売を2035年から禁止するという。それに先立って、2019年末までに2ストロークのエンジンを積載するオートバイやディーゼル車の利用を抑止し、2030年までに政府公用車と公共路線バスは全てEV化することもうたった。
二つめは、再生可能エネルギーの全発電量に対する割合を、2025年までに20%引上げを実現するため、「再生能源発展条例」の修正案をまとめたことである。電力利用の大口契約者に対しては、太陽光発電システムを自社で設置することや、使用電力の10%以上を再生可能エネルギーにすることを義務付ける可能性が高い。これは、蔡英文政権がその方針を法制化することによって具体的な取組みを示したものである。
2017年末、台湾南部の高雄市の臨海工業区に隣接し、大気汚染に数十年苦しんできた集落が、住民の健康を守るため、2019年に集団で他の場所に移転することを決めた。
台湾で大気汚染に苦しむ人々が安心して暮らす社会の実現のために、今回、行政院が明らかにした環境・エネルギー政策具体化の動きに猶予があってはならない。
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