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東南アジア駐在員報告
2001年5月 経済 駐在員 : 岩城徹雄
ASEAN各国の通貨がそろって安値を更新したことにつき先月報告したが、4月7、8日にクアラルンプールで開催されたASEAN財務相会議で、通貨危機の再発防止策が大筋で合意した。加盟国に日本、韓国、中国を加えた13か国( ASEANプラス3)がそれぞれ2国間で通貨スワップ(交換)協定を結び、対外的な資金繰りが苦しくなったときに外貨を融通しあう仕組みのもので、「チェンマイ・イニシアチブ」と呼ばれる。実態は外貨準備が潤沢な日本の支援策といえ、外貨準備高の多いシンガポールは二国間協定を締結する考えのないことを明らかにしたり、マレーシアは国際通貨基金(IMF)の関与の度合いを低くすべきだと主張したり、足並みがなかなかそろわない様子であった。
5月9日にホノルルで開催されたアジア開発銀行の年次総会に合わせ、日本は韓国、タイ、マレーシアの3国と通貨スワップ協定を締結することで正式に合意し、東南アジアでの通貨危機に対する予防策が第一歩を踏み出したことになる。しかし、市場関係者の間では不安定なバーツ相場に悩むタイ国内日系企業向け支援策との見方がなされたり、加盟国それぞれの事情もあり、すんなりと進んでいくのは難しいものと思われる。
なお、マレーシアのダイム蔵相は4月のASEAN財務相会議の席上、1US$=3.8リンギの固定レートを維持する考えを明らかにした。マレーシア経済は基礎条件が整っており、周辺他国の通貨安による輸出競争力低下は一時的なもの、というのがその理由である。
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