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ヨーロッパ駐在員報告
2000年1月 政治 駐在員 : 森 貴志
強制労働補償に決着
ナチス時代の強制労働に対する補償問題で、ドイツ側代表のラムスドルフ元連邦経済相と米政府代表のアイゼンスタート財務副長官は昨年末、先にドイツ側が提示した補償総額100億マルク(連邦政府50億マルク、企業補償財団50億マルク)を、被害者弁護団および元強制労働者が多く在住する東欧諸国の政府が受け入れたことを明らかにした。
合意を受けたラウ大統領はベルリンで「ドイツ国民の名において全犠牲者に対して許しを請う」と正式に謝罪を表明。またシュレーダー首相は、「補償でナチスの犯した罪が消えるわけではないが、少しでも緩和できることを期待する」と述べた。首相はさらに、交渉を仲介した米国のクリントン大統領に謝意を表した。
連邦政府は、今年夏までに「強制労働補償法」を成立させ、具体的な支給手続きを開始する方針。草案によると、補償は強制収容所またはそれに相当する刑務所で2か月以上の労働を強制された者、ならびにドイツ帝国国内に強制連行されて2か月以上労働した者を対象とし、それぞれ5000〜6000マルクを支給する。
アイへェル連邦蔵相は、補償額のうち連邦負担分については連邦政府が企業に保有する株を放出して充当したいと発表。一方、企業補償財団には約80社が参加を表明している。なお2月には、ワシントンで犠牲者団体間の補償分配交渉が開始される予定。
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