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ヨーロッパ駐在員報告
1999年8月 政治 駐在員 : 森 貴志
EU廃車リサイクル法案採択
ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)加盟国の大使会議で、議長国フィンランドからEU廃車リサイクル法案の妥協案が提出され、ドイツの反対を押し切って賛成13か国で採択された。同案は今後、欧州会議に提出され、採択となる。
採択案によると、EU域内の自動車メーカーに2006年1月から全廃車の無料回収を義務付ける。ただし、2001年1月以降に車検証が発行された車が廃車になった場合は、直ちに無料回収が義務付けられる。
EU廃車リサイクル法案は、1997年に欧州委員会が提出して以来の懸案事項。6月末に開かれたEU環境相会議では、ドイツの自動車メーカー5社から反対要請を受けたシュレーダー首相の指示で、トリッティン環境相が法案に反対を表明。さらに、BMWの子会社ローバーを抱える英国と、VWの子会社アセットがあるスペインが保留し、法案採択を見送らせた。しかしその後、他のEU加盟国からシュレーダー首相の自動車産業寄りの姿勢に批判が集中し、EU諸国が反ドイツで結束する方向に動いた。
一方、ドイツ交通クラブ(VCD)は、「採択案には回収コストを消費者に負担させると解釈できる点がある。」と批判。ドイツ自動車産業連合会(VDA)は、「適用に際しては各国の事情を考慮すべきと主張していたトリッティン環境相の意見を検討すべき。」としている。
こうした、産業と環境保護との問題は今後日本においても考慮すべきものであり、ことに自動車産業関連企業の多い本県産業界は、対策を検討する必要が出てくるものと思われる。
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