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東南アジア駐在員報告
2000年2月 経済 駐在員 : 篠原 清志
東南アジア、通信市場に激震
1月21日、シンガポール政府は、2002年4月から実施するとしていた通信市場の完全自由化を2年早め、今年4月から行うと突然発表した。これを受けて固定電話市場を独占しているシンガポール・テレコム(上場会社だが株式のほとんどを政府機関が保有)の株価が急落。2年前に今年4月から固定電話市場に参入することが認められていたスターハブ社(日本のNTTと英国のBTが大株主)についても、NTTやBTが直接シンガポール市場に参入するのではないかなど大きな注目を集めていた。
この騒ぎの中の24日、シンガポール・テレコムは、香港の電話会社C&W・HKT(旧香港テレコム)の買収について、親会社の英国C&W社と協議していると発表した。これが実現すると、アジアではNTTに次ぐ大通信会社が誕生することになる。
この買収劇については、シンガポールと香港が何かにつけてライバル視されることから、シンガポール政府による香港通信市場の支配だとの意見が香港から出れば、シンガポール側は、対等合併でそのようなことはないなど、連日大きく報道されている。また、C&W社が香港から撤退すれば、ドイツ・テレコムがC&W社を買収しやすくなり、そうするとアジアにおけるシンガポール・テレコムとの提携関係が一気に進む(ドイツ・テレコムはフィリピン、インドネシアに、シンガポール・テレコムはタイ、フィリピンに拠点を持つ)とか。NTTは対抗上、マレーシア・テレコムへの出資を行うのではないかなどと、アジアの通信事業の今後をにらんで大きな関心を呼んでいる。
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