東南アジア駐在員報告



2014年2月 社会・時事
駐在員 : 長谷川 卓


    12月8日(日)午後9時過ぎ、リトルインディアと呼ばれる主に南アジア出身者が集まる地区で起きた、自家用バスとインド人歩行者との間の交通死亡事故に端を発して、南アジア出身の労働者を中心とする約400人が関与する大規模な暴動事件が発生した。
    この暴動により、現場に向かった警察官10名が負傷し、交通事故を起こしたバス、パトカー4台、救急車1台が、暴徒化した群集に襲われて破壊され、このうちパトカー2台と救急車1台が放火され、炎上した。
     暴動は別に投入された特殊部隊により数時間後に沈静化された。安全安心の国として評価されてきたシンガポールの建国以来、初めて起きた暴動だけに政府の対応も迅速で、17日までに、事件に関与したとして28人の起訴、53人の強制送還、約200人の警告処分が警察により発表された。また、政府は屋外での飲酒と泥酔が暴動を拡大した原因だったとして、14日〜16日の週末はリトルインディア地区での酒類販売が禁止するとともに、同地域を中心に今後6か月間の週末は公共の場での飲酒の禁止を発表、小売店での週末の酒類販売は午後8時までに制限されることとなった。
     経済発展に伴う物価上昇、所得が向上するシンガポールで、いわゆる3K職場での労働を担う外国人労働者の賃金や福利厚生が改善されていないことも暴動拡大の原因と指摘されている。少子高齢化への対応策として外国からの移民と出稼ぎ労働者の受入れに舵を切った政策運営の難しさを感じる。

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