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ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 東南アジア駐在員報告

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東南アジア駐在員報告

2003年4月 その他
駐在員 : 橋本勝弘


ラオスの社会経済状況

    3月初旬にラオスの首都ビエンチャンを訪れ、政府投資委員会、日系企業、国際協力事業団ほか関係者の話を聞く機会を得たので概要を報告する。
    ラオスはインドシナ半島の中央部に位置し、中国、ベトナム、カンボジア、タイ及びミャンマーに囲まれた内陸国であり、日本の本州ほどの国土に約520万人が住んでいる。主要産業は農業と林業で、GDPは14億2,400万米ドル、1人当りGDPは273米ドル(共に2000年の数値)と、貧しい国である。人口の8割が農業従事者で、首都以外の地域では貨幣経済が発達しておらず、自給自足の生活をする人が多いという。現時点では、1人当りGDPでベトナムやカンボジアと大きな差はないものの、識字率が50%以下と低く、教育機関の整備も遅れているため、将来周辺諸国から取り残されてしまう可能性が大きいと危惧する意見も聞かれた。
    年間約3億9,000万米ドル(2000年)の輸出総額の大きな部分を占めるのが電力輸出で、水資源を生かした水力発電による電力をタイなどへ輸出している。工業製品は縫製品や木製家具が挙げられる程度であまりない。貿易の中では、タイやベトナムなどの周辺国との国境での貿易の割合が多く、外国との貿易取引の実務や知識に乏しく、輸出入拡大のペースは遅いようである。
    国内企業は、ほとんどが零細規模の家内手工業である。外国からの投資ではタイが最大の投資国となっており、88年以降99年までの認可額累計では、262件で29億米ドルであった。以下、アメリカ、韓国と続き、日本は30件1,900万米ドルで14位であった。ただし、政府発表の認可ベースの数値であり、実行されていない投資計画も多いようである。政府の投資委員会の話では、97年以降外国投資が減少傾向にあったが、02年は持ち直してきたとのこと。政府も国内経済拡大のため外国企業の投資による工業の振興を目指しており、02年からは外国企業と政府との対話の場を頻繁に設け、投資環境改善のための意見などを聞いているという。国内企業と政府との対話の場も持っているが、簡単に周辺国から製品を輸入して売ることができるため、地場企業はあまり製造業をやりたがらないとのこと。外資頼みの傾向は改まりにくいようである。
    しかし、日系企業では役所とのトラブル解決が仕事の半分以上を占めるとの苦情が聞かれた。前述の対話の場へは1回呼ばれただけで、政府幹部と実際の担当者との考え方の差が大きく、担当者が変われば対応も変わり、税率もよく変更され、これが通知文だけで簡単に実施されてしまうなど、悩みが多いようである。
    外国からの投資以上に、アジア開発銀行や日本ほか、各国からの援助に国の発展を頼らざるを得ない現実が大きい。現在計画されている大きなプロジェクトとしては、ラオス国内の道路を整備し、タイとベトナムを結ぶ東西回廊と、これに隣接した経済特区を整備するものが挙げられる。ビエンチャンから南へ約500Kmの所に人口で国内第2の都市サバナケットがあるが、この町を中心に、タイとの国境であるメコン川に第2メコン国際橋を整備し、また、ベトナムまでは国道を整備することにより、インドシナ半島の中央部にベトナム・ダナンからタイ・バンコクへ至る東西回廊をつくる計画である。この回廊は今後約5年のうちに完成される予定であるが、前述のサバナケットがラオス国内の東西、南北の交通の交差点になるため、物流の中心地に発展することが予想されている。このため、バナケットに輸出(または再輸出)加工区や物流集積拠点等の特別地域を整備し、経済発展の中心地にする計画である。
    国際橋や国道は、日本の国際協力事業団ほかの支援で整備が進んでいるが、経済特区の内容はまだ検討段階のようである。他のASEAN各国が歩んできたような、安価な労働力を外国企業に提供して工業化を図る、という発展形態がラオスにもあてはまるのか、また、水や森林、観光など、ラオス固有の自然資源を生かした独自の発展モデルが描けないか、政府や支援国、ASEAN各国を交えて考えていかなければならない大きなテーマのようである。
    筆者が到着する数日前に、首都ビエンチャン近郊のキャンプ場で外国人観光客の乗ったバスが教われ10数名の死傷者が出たばかりで、緊張のラオス入りとなったが、ビエンチャンの町は予想以上に平穏で賑わっていると感じた。欧米人のバックパッカーなど観光客も多く見られ、治安もそれほど悪くはないようだった。ただ、国内には少数民族や、麻薬取引を行うグループなど政府に不満をもつ組織もあり、テロが続いて起こる可能性も否定できず、安全には注意が必要とのことである。
    自動車の台数はそれほど多くなく、渋滞はない。二輪車は首都では1家に2、3台の時代になってきているが、地方ではまだまだとのこと。ラオスでも中国製のコピー車が低価格でシェアを広げており、国内で組立・製造するより国境貿易で輸入したほうが納期も早く簡単に手に入るという。
大通りに面したショッピングセンターには、日本や韓国メーカーのブランドの電化製品や、衣類、工芸品などかなりの数の製品が並べられているが、電化製品などはコピー商品も多いと聞いた。野菜、肉及び魚などの食料品のほか、日曜雑貨を売る露地のマーケットも見たが、地面の上に広げた板の上に氷で冷やすこともなく肉のブロックを売っていたり、バケツの中に水を少しいれただけで魚を売っていたり、日本人の感覚では理解できない販売方法であった。レストランや大きなショッピングセンターでは、米ドルやタイ・バーツがそのまま使え、市内移動のため乗ったバイクタクシーもバーツで支払えた。自国通貨のキープの価値が低いこともあり、外国依存経済の一端を見た感じである。


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