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東南アジア駐在員報告
2001年1月 社会・時事 駐在員 : 岩城徹雄
インドネシア、フィリピンで年末に爆破テロ事件続発
インドネシアではクリスマス・イブの12月24日、ジャカルタ他全国8か所でキリスト教教会などを狙った爆弾事件が続発し13人が死亡、100人近くが負傷した。シンガポールからフェリーで約45分の距離で、日系企業も多数入居する工業団地があるリアウ州バタム島でも教会や商業地区で爆弾事件が発生し、29人が負傷した。これらの事件はほぼ同時刻に起こっており、宗教対立をあおる勢力の計画的犯行との見方が強い。イスラム教の断食月が明ける日の12月27日にも、同様のテロが起きるのではないかと心配されていたが、幸いに事件は起こらなかった。
一方フィリピンでは、12月30日に空港や鉄道車内など人の集まる所での5件の連続爆弾テロが発生し、18人が犠牲となった。フィリピン国家警察ではイスラム教勢力が関与しているものとみて容疑者の逮捕を検討中である。この事件のためか、今年に入ってフランスのカジノの企業グループがフィリピンの大手小売企業への出資断念を発表したり、同じくフランスの量販店カルフール社がフィリピンへの投資を中止したりと、経済面でもマイナスの影響が出ている。
筆者は12月中旬にフィリピン・セブ州の静岡県内企業、首都マニラ近郊の元米空軍基地のクラーク工業団地管理公社ほかを訪れたが、通貨ペソの不安定にもかかわらず取引を米ドル決済とすれば為替リスクはさほどなく、賃金をはじめとする低コストや外資誘致策などにより、外国企業にとっては有力な投資先であり、日本からの新規投資案件も引き続きあるとの話を聞いたばかりであった。
ただ、治安面はやはり要注意で、観光地にも近いセブ州の工業団地内でさえ、背広姿の日本人がタクシーに乗るのは誘拐につながる非常に危険な行為であるとの指摘を受けた。
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