東南アジア駐在員報告
2016年7月 社会・時事 駐在員 : 芦澤裕之
シンガポールの国土は狭く、静岡県の約11分の1であるにも関わらず、年間の外国人旅行客数は2013年以降、3年連続で1,500万人を超えている。訪日外国客数が1,500万人を超えたのは昨年(2015年)が初めてであることからも、この数字の偉大さが分かる。
観光資源が乏しいシンガポールは、比較的裕福な観光客を誘致するため、多大な努力を払っている。近年ではマリーナ・ベイ・サンズに代表されるIR(統合リゾート)の整備や、2018年に完成を目指して工事中のチャンギ空港の複合施設「ジュエル」など、常に新たなニーズへの対応を進めている。
こうした中、6月にはまた新たな施設の開設が発表された。報道によると、2020年までに約793億円を投資し、シンガポール動物園の隣接地に、9個の巨大な鳥かごを持つ世界最大級の「バード・パーク」と、東南アジア地域の動植物を楽しめる「レインフォレスト・パーク」が設置されるという。
こうした、簡単には真似ができない巨大な観光への設備投資とは別に、ぜひ本県の観光関係者に参考にしていただきたい取組もある。
6月3日から年に1度のバーゲン期間「グレート・シンガポール・セール(GSS)」が始まった。GSSはシンガポール小売業者協会が主催し、今年で23回目となる。これまではシンガポールの学年末休暇期間の6月と、東南アジアの観光シーズンの7月の2か月間で実施していたが、今年からアジア太平洋地域の休暇期間も踏まえ、8月14日まで2週間延長された。公式クレジットカードには中国の銀聯カードが初めて選ばれた。
最近、日本では中国人観光客による「爆買い」に陰りが見られている、との報道もあるが、旅行者にとって、旅行中の大きな楽しみの一つがショッピングであることは間違いないだろう。外国人客向けの特別セールや、繁忙期の開店時間の延長、言語対応、カード決済対応など、静岡県を訪れる旅行者が、ストレスなくショッピングを楽しめる環境づくりは、ぜひ本県でも取り組んでいきたい課題であると考える。
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