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中国駐在員報告2007年11月 社会・時事 2007上海グランプリ 目の前を時速300km以上のスピードで駆け抜けていく「Formula 1」のエンジンの咆哮、ヘアピンカーブに入る直前のブレーキ音、カーブを曲がり切った後のアクセルを踏み込んだ時の唸るようなエンジン音が、総勢22台のマシンから放たれ、会場全体が「Formula 1」特有の音に包まれた。 ここ上海市嘉定区にある上海国際サーキット場には、中国のゴールデンウィークの一つである国慶節とも重なり、10月5日から7日に開催された第3回上海GPに数10万人の観客が押し寄せた。この上海国際サーキット場は、2004年に完成し、観客20万人を収容できるアジア最大級のサーキット場であり、全長5.5km、16コーナーで構成され、上空から見ると上海市の「上」の文字を象ったコース・デザインで有名である。 最終日の決勝戦は、前日行われた予選時の真夏を思わせる日差しから一転し、近づく台風の影響で風雨が時折、強くなっている。しかし、スタンドは満員で、フェラーリ、ルノーやBMWなどの応援フラッグや観客のかぶる帽子の赤色や水色など、鮮やかな色彩が華やかなイベント会場を更に盛り上げている。また、地元の中国人とともに多くの欧米人、日本人、韓国人等がスタンドに陣取っており、国際色豊かな雰囲気を醸し出している。 上海GPには「スーパーアグリF1チーム」所属の佐藤琢磨、「エティハド・アルダー・スパイカーF1チーム」所属の山本左近の2人の日本人ドライバーとトヨタ、ホンダの和製エンジンを搭載したマシンが参加している。GPの結果は、1位、3位がフェラーリ、2位がマクラーレン・メルセデス、そして5位にホンダが入った。期待していた日本人ドライバーは健闘むなしく、12位に佐藤、17位に山本という結果に終わった。 レースは文字どおり競争である。一瞬の隙に、順位が入れ替わる。0コンマ何秒の世界にドライバーたちは勝負を掛ける。目の前を230km以上のスピードで走っているが車間距離はほとんどない。ヘアピンカーブを曲がる時でも、5mも離れていない。マシン1台が数10億円を超えるといわれているが、ドライバーにとっては本当に命がけである。この命がけのレースを支えているのは22台の各ドライバー達の運転技術への相互信頼だと思う。自動車産業の最高技術とドライバーの卓越した運転技術が統合したモータースポーツの最高峰F1レースが、来年も上海で開催されることを期待しつつ、興奮に高鳴った胸を抱いて家路についた。 |
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