台湾駐在員報告
2017年8月 経済 駐在員 : 宮崎悌三
台湾における日本産牛肉の輸入が、早ければ年内に解禁される見込みとなった。台湾政府の食品薬物管理署は、日本で感染が確認された牛海綿状脳症(BSE)を理由に、2001年から禁止している日本産牛肉の輸入を、各界から意見聴取したうえで、条件付きながら16年ぶりに解禁する見通しだ。
台湾で消費される牛肉の94%は輸入に頼っている。日本と同様にBSEの発生で一時、台湾への輸入が禁止されていた米国産牛肉は、日本より早い時期に条件付きで輸入が解禁された結果、半分を超えるシェアを誇っている(2016年の台湾への牛肉輸入量。農業委員会統計)。米国産牛肉に続くのは、オーストラリア産、ニュージーランド産で、これら3か国からの輸入で、台湾の牛肉市場のほとんどを占めている状況だ。
輸入解禁の主な条件としては、生後30か月以下の牛の肉であること、頭・目・骨・脳・脊髄・内臓などの特定危険部位が除去されていること、日本政府の登録許可及び検査などが行われ、かつ台湾当局による検査で安全が確認された工場・施設で処理された牛肉であること、日本の公的機関が発行する証明書が添付されていることなどが挙げられている。
今回、輸入が解禁されるのは、日本のほかにオランダ、スウェーデンの3か国の予定である。今後、台湾の牛肉市場においては、米国産を始めとする他国産牛肉との差別化などが、シェア争奪の鍵となると思われる。
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