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北米駐在員報告
2001年2月 行政 駐在員 : 若梅 真樹
カリフォルニア州電力危機
電力供給会社が電力卸売取引所(PX)から購入する電力調達価格は自由化され、消費者への小売価格は、2002年まで固定といった変則的な自由化の中で、電力調達価格の暴騰により電気を供給すればするほど赤字が膨らむ逆ざや現象、発電事業者による価格操作の疑いなど制度的欠陥、また、電力の需要と供給の問題なども含め複雑な要因から発生した電力危機である。
連日、電力危機警報“ステージ3”(電力需要と供給能力の差が1.5%以内)が発令され、地域ごとの送電停止による計画停電、電気料金の引上げ、電力供給大手のパシフィック・ガス&エレクトリック、サザン・カリフォルニア・エジソンの2社が経営破たんの危機などという深刻な状況に直面している。また、日本人や日本企業が集中するトーランスでは、経営危機に陥った電力会社が供給しているため、一部地域で停電が起こる可能性もあり、電気料金の高騰と共に通常業務への影響が懸念されている。一方、州内最大都市のロサンゼルス、パサデナ、グレンデールや州都サクラメントなどでは、自由化への流れに乗らなかったが故に市営の発電事業によって大きな停電を免れており、明暗を分けている状況にもある。
州政府は、非常事態を宣言し、抜本的な解決策として、州政府による電力購入、経営危機にある電力供給会社2社の操業を州が肩代わりするなど直接電力事業への関与を強める方針を打ち出した。今回の電力危機では、北カリフォルニアを中心として、工場の操業停止やパイプラインによる燃料輸送に支障が出るなど州経済への影響が顕在化しており、全米の1/6を占める経済規模を持つカリフォルニアのこうした状況は、減速している米経済に深刻な影響を与えかねないと懸念されている。
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