東南アジア駐在員報告
2022年5月 社会・時事 駐在員 : 竹田 敏彦
2回目の県東南アジア事務所勤務のため3月中旬にシンガポールへ赴任した。前回の勤務は2017年4月から2020年3月までの3年間。2年間のコロナ禍の日本を経て再度着任したシンガポールで感じたことを幾つかご紹介したい。
まず1つ目は「強権的とも言えるコロナ対応」である。シンガポールは経済活動の再開を第一に、感染者数を増やさずに行動制限を緩和するため種々の強制力のある措置を実施している。一例としてワクチン政策が分かりやすい。政府はワクチン接種率を上げるため、4月下旬まで、未接種者のショッピングモール入場禁止、職場への出勤禁止などの制約を設けていた。現在も一部規制は残っており、同国で生活するためにはワクチン接種が不可欠な状況だ。自分自身もシンガポール到着後、ワクチン接種済であることを証明するスマートフォン・アプリの登録が完了するまで、スーパーで買い物をするのも難儀だった。
2つ目は、「スピード感」。上記のコロナ対応で特に感じたことだが、政府の決定が非常に早く、状況がコロコロと変わる。渡星後の2か月弱の間に、新規入国者の隔離7日間が隔離措置免除へ、従業員の出勤上限が50%から100%へ、集団活動の上限が5人から限度なしへと引き下げられるなど緩和措置が実施された。これまでも感染状況に応じて、頻繁に厳格化と緩和措置が繰り返されている。地元の人にシンガポール政府は様々な決定が速いという話をすると、「人口570万人の小国だからこのような対応ができる」という回答があった。
最後は、「人のやさしさ・人懐っこさ」だ。シンガポールに入国し空港から隔離先のホテルへ向かうタクシーに乗車早々、「どこから来たのか」と話を振られた。外国から到着しホテル隔離となる私に対しても、ウイルス感染を気にすることなく気軽に話しかけてくれる気質がある。また、薬局で商品を選んでいた際には、店員がもっとお買い得な商品があるからそちらにするよう声をかけてくれるなど、皆よい意味でお節介だ。このメンタリティは、コロナ禍でも変えられないシンガポール人の美点だろう。
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|